デモンストレーター臼井裕二が注目選手の滑りを解説【黒木誠】

SBM 2nd GAMEでジャッジの目を引いた注目選手の滑りを臼井裕二が解説! 今回は、ターン技術はもちろん、構成力も高評価だった黒木誠選手を見ていこう。


テクニカルやスノーボードクロス、アルペンまでこなすオールラウンダーである黒木選手。特筆すべき点は「演技構成」です。ミドルターンから始まり、前半の2セクションをしっかりとメイク。バンクでも数多く当て込んでジャッジを飽きさせない。最後のスピンも綺麗な1ローテーションでスムーズさを表現してくれました。

それでは順を追って解説していきましょう。
スタート直後、バーン向かって右側でのミドルターンでは「落下」と「リズム」を上手く表現しています。ミドルターンをスタート直後の急斜面で入れるには高いターン技術が必要。特に柔らかい雪でのミドルターンは一気にエッジを立てると雪面にボードが潜り、減速してしまいがちです。しかし、曲げたいし、落としたい。そこで黒木選手はターン前半、減速を伴わない絶妙なスライド技術を披露。ボードの向きが極端に変わってしまわないように、踏みながらスライドし、早い段階でしっかりとボードをたわませています。体軸を入れすぎず、骨盤と肩甲骨を自在に操れる黒木選手の技術の高さがうかがえますね。

2nd GAMEのバーンで、少し小さめのミドルターンから演技を始めるのは技術的にかなり難しかったと思いますが、演技に流れと躍動感が生まれる理想的な入り方とも言えます。ロングターンで始めると「メロー」な印象。ショートターンで始めると「活発」な印象。どちらも構成的には悪くは無いですが「ターン技術」をいきなり魅せられるとジャッジとしては「おっ!」と注目してしまうもの。他選手の滑走順も含め、非常に計算されたスタートだったのではないでしょうか。

Photo:Yoshi.Josef.Toomuch

その後は時間が経つにつれ、ややブレーキのかかる雪質と折り合いをつけながらの演技となった印象です。雪さえ走れば横移動中に2~3ターン入れたり、何らかのアクションを入れられたでしょう。

Photo:Yoshifumi.Shimizu

バンクではトリック後に減速してしまう選手が多いなか、クロスの経験を生かし、パンピングを入れて加速に繋げています。結果、最後のセクションでは無理に蹴りすぎる事なく、スピードで抜くスムーズなスピンに繋げられている。スピードのコントロールも視野に入れた演技構成が光ります。バーン全体の流れをスタートからゴールまでしっかりとイメージできている「構成力」に脱帽です。

臼井裕二(うすい・ゆうじ)
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