デモンストレーター臼井裕二が注目選手の滑りを解説【加藤愛永】
入賞こそ逃したもののキラリと光るテクニックでジャッジの目を引いた注目選手をピックアップ。今回は、安定感と全体の流れが高評価だった加藤愛永選手。解説してくれるのは8期連続のデモンストレーター、SBM 2nd GAMEのジャッジも務めた臼井裕二だ。
加藤選手はボードの動きが安定しており、演技全体を通して流れがあります。安定感を感じるポイントのひとつは、ボードを踏んでいる時間が長いという点です。切り替えの一瞬以外はまんべんなく、しっかりと雪面とコンタクトをとっていて、それが安定感に繋がっています。そして両サイドとも、切り替えからボードを踏むまでのタイミングがどちらのエッジングも一緒であるという事にも注目。一般的にはスノーボードにおけるターンには得意サイドと不得意なサイドがあります。得意な方向への切り替えからボードを踏む所までは早くなるし、反対側は遅くなる。その時間の使い方の不均等さが、実際の演技においては「違和感」に繋がり、得点に響いてくるものです。しかし、加藤選手の切り替えを観ると実にバランスが良い。
そして、もうひとつ見てもらいたいポイントが「流れ」です。この「流れ」の良い演技構成に欠かせない「ある要素」をしっかりと演技に取り入れています。その要素とは、チェックの少ない演技です。加藤選手は演技中ほとんどチェック(ブレーキ操作)を入れてません。これはターンの弧を上手に使い、ターンをしながらスピード調整をしているという証拠です。トリック的には少しメリハリが足りない点はありましたが、全体を通して流れのある「フリーライディング」という種目を理解している素晴らしい演技だと言えます。