バンクドスラローム、どう滑るのがベスト!?

SBMの種目のひとつとなっている「バンクドスラローム」は、近年とくに人気の競技。その理由は「タイムを競い合う競技性」や「地形攻略のおもしろさ」にあると言える。とはいえ、どこのゲレンデにも専用コースが常設されているものではないため「どう滑るのがベストなのかがわからない」という人も多いだろう。
そこで「M&Mバンクドスラローム」で2度優勝、アメリカで開催される「Mt.Baker Legendary Banked Slalom」でプロ女子3位に輝くなど、世界トップクラスの実力をもつ荒木直子にバンクドスラロームの魅力や攻略のコツを解説してもらった。


バンクドスラロームの基本は「バンクをいかにうまく使うか」

通常のスラロームは、「いかにスピードを殺さず攻めるか」が重要で、常に目線を先行し、次のポールへと送り続けながら「ポールすれすれのインコース」のライン取りに気をつけてこなしていきます。
一方バンクドスラロームは、アルペン競技のスラロームとは違ってポール脇にバンクがあります。この場合「ポールすれすれのインコース」ではなく「バンクをしっかり使えるアウトコース」のライン取りが正解。バンクを使って「パンピング」することで、さらに加速させることができるからです。
「インコースをついてショートカットした方が早い」と思うかもしれませんが、少しの距離をショートカットするよりも、バンクを使ってスピードアップを重ねていく方が最終的には早くなり、これはバンクドスラロームの鉄則とも言えます。だからこそライン取りはとても大切。しっかりと考えて滑る必要があります。

ちなみに「パンピング」とは地形変化で重心を使って加速させる滑り方。ライダーたちは当たり前のように使っているテクニックです。進行方向に対してブランコを漕ぐようなイメージに近い動きで、うまく使えば何もせずに滑るのとは比べものにならないほど、スピードが加速します。

パンピングは、バンクドスラロームだけでなくハーフパイプなどのR地形に必須のテクニック

バンクドスラロームは大会によって、コースレイアウトも様々。バンクの配置や大きさなどが単調なコースもあれば、不規則なコースもあります。単調な場合はとにかくパンピングの繰り返しですが、不規則なコースでは慎重になりながらも「攻めどころではしっかり攻める」という戦略性が大きくモノを言います。

SBM 2nd gameのバンクドコースは本当に不規則で、バラエティに富んだ「とんでもないコース」でした。
「パンピングで加速させていくだけではオーバースピードを招き、コースアウトや旗門不通過の可能性が高くなる」そういうコースだったのです。

※SBM 2nd GAMEバンクドコースの様子は↓こちら↓の記事から
SBM 2nd GAMEバンクドコースを滑ってみた!

では、このような不規則なバンクドコースでは、どのような対策が必要なのか。
まずはインスペクション(コース確認)と公開練習で「どこに、どんなポイントがあったか」「旗門数はいくつだったか」など、コースと特徴をしっかり頭にたたき込むことが必要です。そのうえで「各旗門のアウトコースとインコース、どちらのライン取りで攻めるか」を決める。
本戦では、難しいところでチェックを入れつつ、まずはゴールを切ることが最重要です。旗門不通過などは記録としてタイムが残りません。そういうミスを避けて「ゴールする」ということは、当り前のようでとても大事なことなのです。さらに、その中でどれだけ、自分の限界ギリギリのスピードを見極めて、攻めることができるか。これが勝敗のカギになります。
技術や体力、マテリアルの優劣だけでなく、戦略・知力・経験値も勝敗を左右するバンクドスラロームは、スノーボードの「うまさ」を見極めるうえでは理にかなっているのかも知れません。

Photo:Yoshifumi.Shimizu

【荒木直子からのメッセージ】

太モモがパンパン&足が棒になるくらいまで踏みまくって、ゴールした後に「足が~!」となるのが、バンクドスラロームの醍醐味だと思います。実際「足が~!」と言っている選手達の顔はキラキラしていてとても楽しそう。バンクドスラロームは自分のレベルに合わせて滑れる楽しい競技です。もちろんSBMは誰でも出場できるオープン戦です。そんな大会も増えているので興味のある方はぜひチャレンジしてみて下さいね!


荒木直子(あらき・なおこ)
長野県茅野市出身。3才からスキーを始め、中学2年まではスキーアルペン競技。中学3年からスノーボードに転向。 19歳でプロ資格を取得。 ここ数年はバンクドスラロームの大会を転戦ししている。
■スポンサー:ムラサキスポーツ、 ROME SDS、AIRBLASTER、ARCADE、Spacecraft、Oran`ge

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