片想い(文春文庫)
発売
2001.03
タイトル

片想い(文春文庫)

あらすじ
十年ぶりに再会した美月は、男の姿をしていた。彼女から、殺人を告白された哲朗は、美月の親友である妻とともに、彼女をかくまうが…。十年という歳月は、かつての仲間たちを、そして自分を、変えてしまったのだろうか。過ぎ去った青春の日々を裏切るまいとする仲間たちを描いた、傑作長篇ミステリー。大学時代、ともに汗を流したアメリカンフットボール部の仲間たちとの同窓会。 エースQB(クォーターバック)だった西脇哲朗はマネージャーの理沙子と結婚していたが、二人の仲は最近うまくいっていなかった。 同窓会の帰り道、哲朗はもう一人のマネージャーだった日浦美月に十年ぶりに出会う。 昔から性同一性障害で苦しんできたという美月は、今は男として生きていると告げる。 そして、さらに衝撃の告白をする。「人を殺したんだ」 翌日、アメフト部のランニングバックで美月と付き合っていた中尾功輔が哲朗の家を訪ねてくる。 十年という歳月はかつての仲間たちを、そして自分を、変えてしまったのだろうか。 事件はなぜ起きてしまったのか? 真相にたどり着こうとする中で、次々と明らかになっていく苦悩に満ちた事実。 30代半ばを過ぎ、恋愛や結婚、仕事に行き詰まりながらも、過ぎ去った青春の日々を裏切るまいと再びフォーメーションを組む仲間たち。 最後に訪れる美月の、哲朗の、理沙子の、中尾の決断とは。そして“片想い”の意味とはーー。 映像化を切望された東野圭吾の傑作ヒューマン・ミステリー、2017年、中谷美紀主演でWOWOWドラマ化!

サンタのおばさん(文藝春秋) 絵本 画・杉田比呂美
発売
2001.11
タイトル

サンタのおばさん(文藝春秋) 絵本 画・杉田比呂美

あらすじ
100年以上前の話であるがかつて「サンタクロースって本当にいるんでしょうか?」という趣旨の手紙が、バージニア・オハンロンという当時8つの少女から米ニューヨーク・サン新聞に届き、フランシス・P・チャーチという記者がそれに答えて書いた「社説」(1897年9月21日掲載)が大反響を呼んだ。日本では『サンタクロースっているんでしょうか?』(偕成社)という本になりこれも評判になった。その本が“大人にも読んでほしい子供向けの本”とすれば、『サンタのおばさん』は“子供にも読んでほしい大人向けの本”である。
今年もクリスマスイブが近づいて、恒例のサンタクロース会議が開かれたが、今年は会長勇退の年であり、副会長が新会長に選任され、会長が担当していたアメリカ支部の後任が紹介された。新たに加わることになったサンタは女性。女性サンタを認めるかどうかで、会議は大騒ぎになる――というストーリーだ。
2002年のキーワードは「リセット」だと考えている。2001年の延長は何もない。米国同時テロは世界中の人に「何が起きても不思議はない」とマインドセットすると同時に、あらゆる価値観を一変させた。
この本が示唆するように、きれいごとを言ってもこの地球上には性差別は厳然と存在する。政界・財界・官界・教育界で優秀な女性がチカラを発揮しようとしても、「ガラスの天井」が様々なところに存在することに彼女たちは気づいている。「女性の暮らし快適に」を標榜してユニ・チャームを創業してから、薄型生理用ナプキンを初めて世に出し、(大げさとのお叱りを受けそうだが)高度成長時代に女性の職場への進出を促したのが40年前。20年前には世界初のパンツ型紙おむつを発売して、長時間の家事から解放してショッピングや旅行市場の活性化にも少なからず寄与したと、自負している。
そして今、「女性がサンタになる」という既成概念をリセットした発想と、その実現が必要なのである。リセットは構造改革の必要条件でもある。女性サンタを誕生させてしまうことが改革の第一歩である。例えばアートコーポレーション社長の寺田千代乃さんが、新任のサンタになったら、きっとプレゼントの中身やサンタの仕事のやり方さえも変えてしまうであろうし、サンタクロース会議も随分活気づき斬新なアイデアも出ることであろう。
シニカルな議論も噴出するが、ほっとする結末に諸兄諸姉にはおかしくもほろ苦いお伽話として読んでほしい。もうすぐクリスマス。続きを書いてみたくなる本である。

虚像の道化師 ガリレオ7(文藝春秋)*文庫版は「虚飾の道化師」(文春文庫)
発売
2012.08
タイトル

虚像の道化師 ガリレオ7(文藝春秋)*文庫版は「虚飾の道化師」(文春文庫)

あらすじ
天才物理学者・湯川と草薙刑事のコンビが難事件を解決する、シリーズ王道の短篇集。単行本二冊分の文庫版オリジナル編集で登場!ビル5階にある新興宗教の道場から、信者の男が転落死した。男は何かから逃れるように勝手に窓から飛び降りた様子だったが、教祖は自分が念を送って落としたと自首してきた。教祖は本当にその力を持っているのか、そして湯川はからくりを見破ることができるのか(「幻惑す」)。ボリューム満点、7編収録の文庫オリジナル編集。
文庫化に際し単行本『虚像の道化師』と『禁断の魔術』(収録作「猛射(う)つ」を除く)を合本して刊行致します。ボリューム満点の「ガリレオシリーズ」短編集です。ビル5階にある新興宗教の道場から、信者の男が転落死した。その場にいた者たちは、男が何かから逃れるように勝手に窓から飛び降りたと証言するが、教祖は自分が念を送って男を落としてしまったと自首してきた。湯川は教団に赴きからくりを見破る(「幻惑(まどわ)す」)。ほかに「心聴(きこえ)る」「偽装(よそお)う」「演技(えんじ)る」「透視(みとお)す」「曲球(まが)る」「念波(おく)る」を収録。
単行本『禁断の魔術』収録短編「猛射(う)つ」は大幅加筆によって長編に改稿し、『禁断の魔術』として文庫化。